ひとすじの涙~彼女が抱えていたもの
ある高校生のお母さんから電話がかかった。
数年前の、ちょうど今ごろだ。
成績が思わしくないとの事。
よくある話なので、とりあえず、面談の日にちを決めて、その日は電話をきった。
数日後、本人とお母さんが来られた。
本人の表情は、思ったより明るい。
電話で様子を聞いた時の印象と、ずいぶん違う。
よくある、親の心配しすぎかな?と思った。
「成績、伸び悩んでいるの?」
「はい。伸び悩むというより、ずっと沈んだままなんです。」
明るい子だ。
「高校生活、楽しい?」
「はい。勉強以外は、とっても楽しいです。」
素直な子だ。
しばらく、そんな雑談が続いた。
彼女は、終始、笑顔でハキハキと答えていた。
そこで、
私は、聞いた。
「今、一番心配な事は何?」
一瞬、戸惑いを見せた。
少し間があって、
「私、頭が悪いんです。」
予想外の答えだった。
私が少し笑いながら、
「自分の事をそんな風に言うのは良くないな。」
と言うと、
「だって、覚えても覚えても、次の日になると忘れているんです。」
真剣な表情だ。
さっきまでの笑顔は、もう消えていた。
「誰だってそうだよ。先生なんて、今朝、何を食べたかも忘れちゃったよ。」
私は、少し話題をそらそうとしたが、
空気は変わらない。
「私、バカなんです・・・」
彼女の頬に、ひとすじの涙が流れた。
(つづく)
もうひとつのブログ海と山に~いだかれても、毎日更新しています。
数年前の、ちょうど今ごろだ。
成績が思わしくないとの事。
よくある話なので、とりあえず、面談の日にちを決めて、その日は電話をきった。
数日後、本人とお母さんが来られた。
本人の表情は、思ったより明るい。
電話で様子を聞いた時の印象と、ずいぶん違う。
よくある、親の心配しすぎかな?と思った。
「成績、伸び悩んでいるの?」
「はい。伸び悩むというより、ずっと沈んだままなんです。」
明るい子だ。
「高校生活、楽しい?」
「はい。勉強以外は、とっても楽しいです。」
素直な子だ。
しばらく、そんな雑談が続いた。
彼女は、終始、笑顔でハキハキと答えていた。
そこで、
私は、聞いた。
「今、一番心配な事は何?」
一瞬、戸惑いを見せた。
少し間があって、
「私、頭が悪いんです。」
予想外の答えだった。
私が少し笑いながら、
「自分の事をそんな風に言うのは良くないな。」
と言うと、
「だって、覚えても覚えても、次の日になると忘れているんです。」
真剣な表情だ。
さっきまでの笑顔は、もう消えていた。
「誰だってそうだよ。先生なんて、今朝、何を食べたかも忘れちゃったよ。」
私は、少し話題をそらそうとしたが、
空気は変わらない。
「私、バカなんです・・・」
彼女の頬に、ひとすじの涙が流れた。
(つづく)
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