少年の日の思い出

私の小学生時代、

学校の暖房は、だるまストーブだった。


燃料は、コークス。

黒い、石炭のようなものだ。


男子が3人一組で、そのストーブ当番をしていた。

朝、コークスを玄関の専用置場から持って来る役。

休み時間になると、新しいコークスをくべる役。

そして、みんなが一番したくなかったのが、

最後のコークス処理の役だった。


ストーブの下の小さな窓を開け、

専用のセンバとカギ棒で、中にある燃えカスを掻き出すのだ。

灰がもうもうと舞い、髪の毛が真っ白になった。

その後、燃えカスで一杯になったバケツを両手に持って、

外まで捨てに行かなければならなかった。

小学生にとっては、かなりの重さだった。


そんな、誰もが嫌がる重労働だったのに、

ある時から、私は、その最後の処理役が大好きになった。


そう、ある日を境に・・・


私は、いつものようにだるまストーブの下窓を開け、

センバで燃えカスを掻き出していた。

まだ真っ赤に燃えているコークスもある。

注意して取り出さないと、大ヤケドだ。

目の前にあるのは、ついさっきまで数百度の熱を持っていた塊。

余熱で、顔が痛い。

そんな危険極まりない当番、今なら、ありえないだろう。


その時、ガラガラ・・・と、教室の戸が開いた。

振り向くと、そこに、担任の先生が立っていた。


「頑張ってるね。」

「あ、はい。」

「用務員のおじさん、褒めてたわよ。」


意味が分からなかった。


「えっ?どうしてですか?」

「ここのストーブが、一番きれいに掃除してあるって。」


うれしかった。

先生は、わざわざそれを言いに来てくれたんだ。


「僕は、ただ、普通に掃除してただけで・・・」


言葉にならなかった。


「先生も手伝うね。」

「あ、いいです。僕が一人でやります。」


先生は、にこっと笑って、私の横にかがみ込んだ。


「まだ、真っ赤に燃えているのもあるんだね。」

「はい、気をつけないと危ないです。」

「それは、先生が言う言葉でしょ?」


それから、何回か、先生が手伝いに来てくれた。

私は、ストーブ当番が来るのが待ち遠しかった。



翌年、先生は他の学校に転任になった。


あの時のストーブ当番。

今でも時々思い出す。

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